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戦場でワルツを (WALTS WITH BASHIR)

戦争映画、戦闘シーンのある映画は苦手であまり観ないのだけれど、米国アカデミー賞外国映画賞の最終ノミネート作品の中でももっとも有力といわれながら結果的には「おくりびと」が受賞したということで話題になっており、とても気になっていました。試写会の案内をいただいたので、むりくり時間をつくって試写会場へ。

戦場でワルツを
戦場でワルツをWALTS WITH BASHIR
監督:アリ・フォルマン

日本から遠く離れた中東での民族紛争がテーマになっているということ、Flashアニメーションで作られたドキュメンタリー作品ということで、どんな作品なのか全く検討もつかず、正直なところ自分自身の中できちんと作品を受け止めることができるのかと不安な気持ちでいっぱいだったけれど、冒頭のシーンからぐっと作品に引き込まれました。

難しい、重たいテーマを扱っているのだけれど、映像、音楽による独特の雰囲気、美しさはとっても新鮮なのだけれど不思議なほどにしっくり。タイトルにもなっているフレンケルという青年が機関銃を乱射させながら交差点でワルツを踊るシーンには、今まで体験したことのないような感情、感動を覚えました。とにかく絶望的で、頭の中ではなんて悲しいことなんだろうと思うのだけれど、心の奥底ではうっとりと、陶酔感のようなものがじわりとひろがっていくような。私の中の悪魔がフレンケルと一緒に踊っていたんじゃないかと思えて、後からぞっとしたのだけれど。

21世紀は多様性の時代だといわれながら、異なる考え、思想、嗜好をもった人々の衝突は繰り返され、今もなお、世界のどこかで、というよりもあちらこちらで悲劇が起きているという事実を、私たちはもっと真剣に受け止めるべきなのでは?と思います。ひとりひとりが努力すれば、自分と違う価値観とうまく折り合いをつけていくことなんてきっとできるはず。お互いを傷つけ合うよりも、もっといい方法が見つかるはず。

エンターテイメント作品としてはやっぱり「おくりびと」だなぁと納得したけれど、たくさんのひとに観てもらいたいと思うのは、断然、「戦場でワルツを (WALTS WITH BASHIR)」でした。もうじき日本でも公開される予定とのこと。たくさんのひとが映画館に足を運んでくれることを願ってます。

投稿者 sunameri : 2009年07月07日 23:19

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コメント

観てみたいです!
子供を取り巻く環境に文化の違いなのか、民族の違いなのか、
はたまた個人なのか、時々対応に悩まされます。

平和に穏便にすませたい。
でも自分の考えも伝えたい。

こんな小さな世界でも難しいと感じます。
小さな世界なのに折り合いがつけられない私が小さいのかも。

投稿者 おはな : 2009年07月10日 03:55

おはなさん、こんにちは!コメント、ありがとう!

この作品を観て、遠くの国で起きている理解し難いこと…とは
思えなくなりました。

私自身、なーなーな感じが苦手で、すんなりと周囲にあわせる
というのがあまり得意じゃないこともあるけれど(笑)、面倒
くさがったり、相手に甘えたりしないで、自分の考えているこ
とを伝える努力を惜しまないって大事なことだと思っています。

みんなとちょっと違った考え方をしていたり、ユニークな活動
をしていたりすると、「あのひとは変わってる」とかになっち
ゃうことって結構あると思うのだけれど、もう一歩踏み込んで、
好奇心をもって、どうしてそういう考え方をするのかな?とか、
どうしてあんな活動しているのかな?と理解する努力をすれば
世界はぐんと広がるし、奥行きも増すし、楽しくなるのになぁ
と。批判したり、疎外したり、に走っちゃう場面に遭遇するた
びに残念に思います。

小さな世界、大きな世界があるわけじゃなくて、隣り合う人間
関係のつながりが、社会を、大きな世界を作っているのだと思います。

この作品のような悲劇をおこさないためにも、もっとゆるや
かな、おおらかな社会にしていかなきゃ、と思います。

投稿者 sunameri : 2009年07月10日 06:32