夏時間の庭(L'heure D'ete)

オルセー美術館開館20周年記念作品を試写にて。

夏時間の庭(L'heure D'ete)
夏時間の庭(L'heure D'ete)」監督・脚本:オリヴィエ・アサイヤス、出演:ジュリエット・ビノシュ、シャルル・ベルリング、ジェレミー・レニエ、エディット・スコブ

「失うこと」もきっと必要なことなんだと思えてくる、美しくやわらかな作品。

投稿者 sunameri : 2009年03月18日 23:06 | コメント (0) | トラックバック

ミルク "MILK"

1977年全米で初めてゲイであることをカミングアウトして選挙に立候補し、市政執行委員に選ばれた活動家ハーベイ・ミルクの伝記映画「ミルク」の試写会へ。


ミルク"MILK"」
監督:ガス・バン・サント、脚本:ダスティン・ランス・ブラック、キャスト:ショーン・ペン、エミール・ハーシュ、ジョシュ・ブローリン、ジェームズ・フランコ

ちょっと落ち込む出来事があったのだけれど、凹み気分も吹っ飛ぶ素敵な作品でした。ショーン・ペン演ずるハーベイ・ミルクにしびれました。彼もまた20世紀の本物のヒーローだと思います。

映画『ミルク』、これほど評価されるとは思わなかった【第59回ベルリン国際映画祭】 - goo 映画

世界はどんどん狭くなっているのに、自分の価値観を他人に押しつけようとするひとがまだまだ多いのは本当に残念なこと。他人の価値観、考え方を尊重できるひとが増えれば、不毛な争いごとはぐっと減るはず。あれはおかしい、これは気に入らないと目くじらをたてることがなくなれば、人生はずっと穏やかで楽しいものになるのに。

アメリカ西海岸に行きたい行きたいと思っているのだけれど、サンフランシスコの街も歩いてみたいなぁ。

映画「ミルク」はGWに全国公開予定!

投稿者 sunameri : 2009年02月13日 23:29 | コメント (0) | トラックバック

ベルサイユの子(Versailles)

冷たい雨の中、汐留の試写会場へ。ロビーの大きな窓からは雨つぶとコンクリートだらけの灰色の景色。フランス映画観るのにぴったりだなぁと座り心地のいいシートでぼんやり。

ベルサイユの子(Versailles)
ベルサイユの子Versailles
監督・脚本:ピエール・ショレール、キャスト:ギョーム・ドパルデュー、マックス・ベセット・ド・マルグレーヴ

真っ暗な画面に目をこらして、息をつめて見入っているうちに、失業、ホームレス、社会のしくみにうまくなじめないことの痛み・・・社会問題の闇にのみこまれ、身動きできないような気分に。

舞台はフランス・パリ郊外なのだけれど、他所の国のこととは思えないリアリティ、現代社会で「失業」が人々に与える痛みの大きさを改めて実感しました。

決して面白可笑しい作品ではないのだけれど、幼い子どもをいたわる人々のあたたかな気持ちは「希望」そのもの。母親に置き去りにされたときはたあどけなさと痛々しさだけだったエンゾの瞳にたくましさが宿っていく様子は、子どもの持つ「生きる力」が花開いていくようにも見えたのでした。

日本にも、この作品で描かれているベルサイユの森のような、社会のしくみにうまく適応できない人々がひっそりと、自由に暮らせる場所があればいいのに、と思う。本当に豊かな社会というのは、そんな隙間をもつ余裕があることなんじゃないかな。

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ごはんメモ

< 今日の夕ごはん >

お刺身(まぐろ、しまあじ、シメアジ)、ブリの照り焼き、厚揚げの焼いたの、チンゲンサイのおひたし、たくあん、ごはん、生のりとねぎのおみそ汁

*やっぱりイエごはんといえば和食だよねぇ。今日は「魚とお肉のおいしさの違い」を彼と熱く議論しながらの夕ごはんでした。食事の話題としてはちょっと濃ゆすぎ・・・。

投稿者 sunameri : 2009年01月31日 21:52 | コメント (0) | トラックバック

DEFIANCE(ディファイアンス)

午前中の予定がちょっぴり長引いてしまい、半蔵門のゆで太郎にて大急ぎランチ。ひとりでどんなお店でも入れるようになってしまった自分が頼もしくもあり、オヤジ化進行?と一抹の不安もあり・・・。

そして、駆け足で向かったのは試写会場。

DEFIANCE(ディファイアンス)
DEFIANCE(ディファイアンス)
監督:エドワード・ズウィック、脚本:クレイトン・フローマン、エドワード・ズウィック
キャスト:ダニエル・クレイグ、リーヴ・シュレイバー、ジェイミー・ベル

第二次世界大戦中、ナチス・ドイツの迫害から逃れてきたユダヤ人たちがベラルーシの森の中でドイツ軍からの度重なる攻撃、極感の冬を耐え、3年にわたって生き抜いたという実話に基づくストーリー。

人間の残酷さ、愚かさとは対照的に、森の中の景色は本当に美しくて、絶望的な状況を忘れてしまいそうになるほど。その美しい森の中で、人々は愛し合ったり、憎しみあったり、いたわりあったり、殺しあったり・・・そして、終わったはずの戦争が、今なお世界のあちこちで続いていることを思うと胸がずきずき痛みました。

本作監督・脚本のエドワード・ズウィック氏のブラッド・ダイヤモンド」もお腹のあたりにどーんとくる作品。自分の平和ボケぶりにがっくり。

DEFIANCE(ディファイアンス)は2/14シャンテシネ他全国ロードショーです。

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ごはんメモ

< 今日の夕ごはん >

ぎょうざ(プレーン、キムチ入り)、トマティーヨのピクルス、たくあん、スモークハムチーズ、わかめスープ

*那須に戻り、お友達の家でのぎょうざ宴会に合流。おなかいっぱいぎょうざをご馳走になりました。(ごちそうさまー)

投稿者 sunameri : 2009年01月22日 23:00 | コメント (0) | トラックバック

トウキョウソナタ

上京スケジュールをちょっぴりやりくりしたら、試写にいくことができました。上手に時間が使えた!と思えるとき、すごく得した気分でシアワセに(笑)。

トウキョウソナタ」 監督・脚本:黒沢清、出演:香川照之、小泉今日子、役所広司

哀しい現実が満載なのだけれど、ファンタジーな印象が強く残る作品でした。やりきれないことだらけで終わらせまいとする製作者の強い意志、努力が伝わってくるような気がして、ちょっと切なくもなり。

この作品もまた食卓の風景が効いていました。白い食器ばかりの食卓はどことなくよそよそしくて、この家族のぐらぐらした感じがぐっと伝わってくるような。誰も食べてくれない手作りのドーナツの行き場のなさにも胸がちくちく。

見慣れたようでいて、どこか他所の国のような、トウキョウの景色もまた新鮮でした。

おもしろい邦画が次々とでてくることもうれしくて、なんだか頼もしいです。

投稿者 sunameri : 2008年08月27日 23:17 | コメント (0) | トラックバック

タフな女性だらけ?

昨日、今日と2日間で3本の試写を観てきました。全く違うタイプの作品だったのだけれど、いずれもタフな女性が描かれていました。思えば、最近観た映画、タフな女性がでてくる作品、すごく多いような。というか、私の周りにもタフな女性がいっぱいだー(笑)。

トゥヤーの結婚

中でも一番タフだったのはトゥヤー。中国内モンゴルの北西部を舞台にした「トゥヤーの結婚」では、トゥヤーの、人間の"生きる力の強さ"をがつーんと見せつけられました。トゥヤーを含めて、登場人物たちは、誰もがぎりぎりの、過酷な暮らしをしているのだけど、不思議なほど悲壮感が漂ってこないのです。淡々と、飄々と。すごく静かな強さ。

なんでこう私は焦ったり、じたばたしてしまうんだろう。きっと、まだ、ぎりぎりまで追い込まれていないんだろうなぁ。

苦しくても、悲しくても、多少は無茶しても、とにかく自分の大切なものを守り通すことができるくらいにはタフになりたいなぁ。

投稿者 sunameri : 2008年01月10日 23:08 | コメント (0) | トラックバック

魔笛

魔笛

魔笛 / The Magic Flute

監督・脚本:ケネス・ブラナー
出演:ジョセフ・カイザー、エイミー・カーソン

モーツァルトが生涯の集大成として作り上げたオペラ「魔笛」を、ケネス・ブラナーが第一次大戦を舞台に映画化。

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私にとってほとんどなじみのないオペラ映画、2時間以上の長編と、「挑戦」という気持ちで挑んだ試写会。音楽と映像にすっかり魅了されてしまいました。

冒頭からやたらセクシーな天使がでてきてびっくり。オペラ → クラシック → お堅い作品、という公式は成り立たず。美しく、のびやかな音楽にのって、わぉ!という映像が次々に現れます。モーツァルトの旋律にぴったりとのったコミカルな映像がとにかく可笑しくて、にやにやしながら、スクリーンから目が離せない!

エンドロールが流れる頃には不思議と心があたたかく、幸せな気持ちに。

もともと多くの人にオペラを楽しんで欲しい!と製作された作品とのこと。
確かに、オペラも観てみたい!

投稿者 sunameri : 2007年06月06日 22:04

マルチェロ・マストロヤンニ 甘い追憶

マルチェロ・マストロヤンニ 甘い追憶
(C) 2006 surf film-orme-acab

マルチェロ・マストロヤンニ 甘い追憶 / Marcello, una vita dolce

監督:マリオ・カナーレ、アンナローザ・モッリ
ナレーション:セルジョ・カステリット
出演:バルバラ・マストロヤンニ 、キアラ・マストロヤンニ

マルチェロ・マストロヤンニは、ルキーノ・ヴィスコンティに才能を見出され、フェデリコ・フェリーニの「甘い生活」で世界的スターとなる。世界中の名匠や巨匠たちの作品に出演し、コメディーからシリアスなドラマまで160本余りの作品を残す。

没後10年を迎えたマルチェロ・マストロヤンニについて、2人の愛娘、新旧映画人たちが語るドキュメンタリー作品。

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2人の娘たち、そして、かつて共演した女優たちは、彼との過去を、自らが共有したその時間を、楽しげに、誇らしげに語る。フェリーニの旧友を懐かしむ表情がまたいい。

大きな愛がスクリーンから溢れだしてくるような作品。

投稿者 sunameri : 2007年05月16日 20:52

ルオマの初恋

When Ruoma was seventees

ルオマの初恋/Ruoma de shi qi sui

監督:チアン・チアルイ
出演:リー・ミン、ヤン・チーカン

雲南省紅河省の少数民族、ハニ族の少女ルオマは17歳。棚田の美しい村におばあちゃんと2人で暮らしている。ルオマはおばあちゃんのゆでたとうもろこしを背負い籠に入れ、乗り合いバスで町に出る。「焼きとうもろこしはいかが」大声をはりあげてもなかなかとうもろこしは売れない。観光客もルオマと一緒に写真を撮りたがるが、とうもろこしは買ってくれない。

ある日、カメラマンのアミンがルオマのとうもろこしを10本買ってくれる。代金の代わりにウォークマンを手渡すアミン。ルオマはウォークマンから流れるエンヤの音楽に魅了される。

アミンは観光客がルオマと写真を撮りたがる様子をみて、あることを思いつく。外国人観光客相手に、美しい棚田を背景にルオマと一緒に写真を撮らせる。撮影料金1枚10元。アミンのアイデアは大当たりし、観光客は列をなした。毎日アミンと一緒に過ごすルオマは、アミンに淡い思いを抱くように。

しかしアミンには恋人がいた。写真館をだし、今もなお仕送りを続けてくれている彼女に、アミンは頭があがらない。

田植祭の日、昆明に引き上げることを決意したアミンは別れを告げにルオマの家を訪れる。おばあちゃんは、ハニ族の若者は田植祭のときに好きな人に泥玉をぶつけて愛を告白するという話を2人にする。夕暮れのあぜ道で、アミンは足を滑らせ棚田に落ちてしまう。彼を助けようとルオマも田んぼにはいり、2人は泥玉を投げあう。

ルオマはアミンと一緒に昆明に行くことを決意する。バス乗り場に駆けつけたルオマが目にしたのは・・・。

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標高二千メートルという山岳地帯に鏡のようにきらきらとひかる棚田。朝焼けに、夕日に、きらめく様子は思わず息をのむほど。その美しい棚田の広がる村に、おばあちゃんと2人で暮らすルオマ。美しい民族衣装に身を包み、おばあちゃんのゆでたとうもろこしを背負い籠にいれ、乗り合いバスで町に向かう。そんな彼女の淡い、淡い恋物語。

ウォークマンから流れるエンヤの曲、そして、谷に響き渡るおばあちゃんの歌、壮大な自然と小さなひとびとの営みが調和する、美しい世界。

ルオマの恋心に胸がちくちくしながらも、気持ちはいつになくのびやかに。土、水、風と共に生きる心地よさを味わえたおかげと思う。

投稿者 sunameri : 2007年05月16日 20:39

クィーン

試写会の案内状に骨太作品の予感。試写会場も満員+補助席設置という盛況ぶりでした。

The QUEEN

クィーン / The QUEEN

出演:ヘレン・ミレン、マイケル・シーン、ジェイムズ・クロムウェル
監督:スティーブン・フリアーズ
脚本:ピーター・モーガン

1997年ダイアナ元皇太子妃がパリで急逝した事故直後、英国国民の感情の矛先となってしまうエリザベス女王の苦悩を人間味豊かに描いた作品。

エリザベス女王がというべきなのか、ヘレン・ミレンがというべきなのか悩ましいのだけれど、とにかくの彼女の圧倒的な魅力にしびれました。強く、賢明で、ユーモアがあり、気品があり、その上、とってもチャーミング!誇り高いことがあんなにかっこいいことだなんて、彼女に出会えなければ気づかなかったと思う。彼女に会いに、映画館に足を運ぶ価値があると思います。

女王の寝室やブレア首相のリビングなどのインテリアやロイヤル・ファミリーのファッションを楽しんだり、政治、マスコミ、世論について考えさせられたりと、間口もかなり広い作品です。今はただただ上質なものに出会えた充実感にひたっています。

投稿者 sunameri : 2007年01月17日 22:00

サン・ジャックへの道

仲の悪い中年の3兄弟が1500kmの道のりを歩く・・・というより、歩き通す!というストーリー。青い空に緑の大地、のびのびとしたポスターがすでに"ツボ"で、わくわくと試写にでかけました。

サン・ジャックへの道 / Saint-Jacques... La Mecque
出演:ミュリエル・ロバン、アルチュス・ド・パンゲルン、ジャン=ピエール・ダルッサン
監督・脚本:コリーヌ・セロー

失業、アルコール依存症、失読症、人種差別・・・現代のシビアな問題ながら、誰しもが関わっている痛み。それぞれに背負った痛みとともに、来る日も来る日も歩いて、歩いて、歩き回る2ヶ月間。最初はけんかばかりしていたメンバーが、いつからか、なにかを受け入れ、穏やかに、黙々と歩きだす。雄大な景色にとけこむような、彼らの歩く姿に、尊敬?羨望?不思議な気持ちが沸いてくる。

慌ただしく、冷たい社会のすぐ隣に、美しい自然がひろがっていること、雄大な時間が流れていること、そして、誰でも、そこに身を置くことはできるということが、とても励みに。

泣いて、笑って、会場をでたとき、薄暗くなっていた街並みに思わず、ほっ。きっと、目はしょぼしょぼ、顔もくしゃくしゃだったはず。ストーリーもキャストも、音楽も、ツボだらけの作品でした。

投稿者 sunameri : 2007年01月16日 19:13 | トラックバック